今回紹介するのは、元Bauhaus(バウハウス)のヴォーカリストだったPeter Murphy(ピーター・マーフィー)が2002年に発表したオリジナルアルバム『Dust』です。
ソロ作品では一番の傑作であると同時に、独特の世界観を強く打ち出した作品であると思います。
- Things to Remember
- Fake Sparkle or Golden Dust?
- No Home Without Its Sire.
- Just for Love
- Girlchild Aglow
- Your Face
- Jungle Haze
- My Last Two Weeks
- Subway (Epilogue)
Peter Murphy(ピーター・マーフィー)がソロになってから世に送り出した作品は、残念ながらどれも酷評されがちでした。それは矢張り、Bauhaus(バウハウス)と云う名のモンスター・バンド出身だったからに他ならないでしょう。
けれども、バウハウス時代と何ら変わらぬスタンスではいけないし、他のヴォーカリストの様な、一般的に云うところの“良い曲”を歌うことも、この人のイメージにピッタリではありません。
ピーター・マーフィーが辿り着いた本作は、そのどれにも属さず、唯一無二なサウンドでした。
不規則なエレクトリック・ビートの上を漂う、アンビエントな雰囲気を持ったオリエンタルな楽器や不気味な音。それらの音をバックに従えて、ピーター・マーフィーの声が地獄の王が如く響き渡ります。
まるでそれは、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の怪談にも等しき、おどろおどろしい世界。物凄く統一感されたカオスが此処にあります。
決して口ずさむことのできない歌が満載された名盤です。絶対にイージーリスニングにはなりません。何もかも諦めて何処までも堕ちていって下さい。